別府中学校 武道場
稽古日 稽古時間 対象
水曜日 19:00 ~ 19:50 年少部・一般部
20:00 ~ 21:00 一般部
土曜日 19:00 ~ 19:50 年少部・一般部
20:00 ~ 21:00 一般部


2013年02月22日

富木流というスタイル

私が合気道という武道を意識しはじめたのは、故・出口信一氏に薦められたことがきっかけです。
出口信一氏は、『おほもと』(※一般的には大本教)の出口直子さんのご主人であられました。
講道館柔道・五段、富木謙治先生に師事し合気道も四段であったと思います。
ちょっと、うる覚えですガーン  もう少し上位の段だったかもしれません。
それから随分と時が経過した後、この道場に入門することになった訳です。

                     故・出口信一氏(左から2人目)

ふと出口信一氏のことを思いだしたので、
今日は「富木流」というスタイルについて触れてみようと思います。
ここでは便宜上「富木流」と表現していますが、
富木謙治先生は○○流、○○派というような表現はとてもお嫌いだったようです。

「開祖から教えてもらったものなのだから合気道でしかない!」  by富木謙治

                       開祖と富木先生(前列左)


型稽古ないし約束稽古のみを行う本部系道場からすれば、
乱取りを実施する富木流は異端の存在に見えます。
よって、その扱いについてはあまり優遇されたものでは無かったようです。
ただ、その趣旨を理解する方はたくさん居たといいます。
加納治五郎との出会いを経て、開祖に師事して允可八段を得た高弟のお一人ですから、
私達がより合気道を好きになるアイデアが詰め込まれていることでしょう。

この富木謙治先生、最初に開祖から稽古をつけられた際には、
「どこからでもいいからかかってきなさい」と言われ、
挑んでいったものの得意とする柔道の技を仕掛ける前にあしらわれて投げられ、
抑えられてしまうことの繰り返しだったと言います。
組んでから投げるという柔道の技とは異なり、開祖の武器・徒手にも対応する自由な動きは、
大きな衝撃であったことでしょう。
そのような経験から、
彼は神秘的な合気道を理論的な見地から多くの人に伝えようと熱心に研究を始めます。
結果、独自の理論を作り上げ、乱取りも導入したのでした。


現在、“実戦”という言葉を冠しつつ乱取りを取り入れた組織もいくつかありますが、
その様相を見る限り、合気道ではなくなっているように見えるものも存在します。
空手やキックボクシング等に見られる蹴りを導入し、
大概の合気道技を使用できないまま強引とも見える小手返しでねじ伏せる、
そんな感じでしょうか・・・。

おそらく、乱取りを導入する際には詳細な注意が必要なのです!
乱取りを取り入れる意味と必要性への認識です。
でなければ、合気道の姿は消え、スポーツ化されていくことになるでしょう。
開祖が試合形式の導入を嫌がったのには、
そのような予感があったことにも理由の一端があるのかもしれませんね。

私的には、“実戦性”においてそれらの組織と一線を画しているのが、
養神館、そして旧岩間道場(現在の岩間神信合氣修練会)、富木流ではないかと感じています。
私達には自由技というスタイルがありますが、
とても参考になる事柄がこれらの組織の稽古内容には含まれていると思います。
同じ開祖に学び巣立って行った訳ですが、
その道友とも言うべき彼らの技術をあらためて見つめてみるのも良いのではないでしょうか。
新しい視点が見つかるかもしれませんよ!

最後に付け加えておきたいのは、開祖が最終的に目指した合気道の姿は、
武術そのものでは無かったということです。
一応、この点に触れておかなければ、
単に合気道の武術としての側面のみを追い求めているかのような誤解が生じますので・・・。

真の武とは、戈(ほこ)を止めるという文字が示す通り、争いを止めることなのでしょう。
そのような意味では、
合気道はまさに世界においてはじめて、武の奥義に達したのかも知れません。  


Posted by 道場生 at 11:26Comments(0)